ちょこっとメモ: 関税について

2020年03月09日

貿易の仕事を日本・オーストラリアで計10年ちょっとしていました。パトリック・ロジェの直販についてネットで調べていた時に、関税について疑問を持っている方がいらしたので簡単に解説。

先ず、輸入品には関税がかかります。消費税もかかります。但し、一定の金額以下の個人使用・サンプル品・プレゼントなどにはかかりません。チョコレートを個人輸入する場合は大抵DHLやFedEx、UPSといった20万円以下の商品を取り扱う運送業者になると思いますので、通関は簡易関税方式です。

さて、ここまでの話はよく分からなかったと思います。色々決まりはありますが;

1. 1送付に付き記載されている商品の金額が10000円以下であれば関税・消費税はかからない。

→ Pariswaveさんでは16567円までのチョコレートには税金かからないと謳っているのでフランスからのチョコレート輸入は16000円以下にするといいでしょう。*もっと詳しく知りたい方は「16666円免税ルール」を調べるといいでしょう

2. 10000円を超える場合、関税(品物による)・消費税がかかる。税金自体は10‐20%なので11000円の場合500円以下になるはずですが、ハンドリング手数料なるものが取扱業者(DHLやFedEx)に1800~2000円程度かかります。つまり合計2000円以上。1000円超えただけで余分に払わなければいけない金額がガポッと増えます。

この煩わしさを避けるためによく行うこととして;

【通関用インボイスを用意する】

輸出商品にはインボイスを添付する義務があります。このインボイスは日本語に訳すと請求書ですが、通関用インボイスと請求用インボイスという二種類を用意することが多々あります。通関用インボイスの金額が10000円以下であれば関税・消費税は無視でき、請求用インボイスを別途送付するなりすればきちんと代金をもらいながら、受手は関税・消費税に煩わされることがないことになります。一見「脱税?」と思われがちですが、商品の金額はあくまでも買い手が買った金額であり、売り手が販売後の商品にいくらの価格を付けるかは自由… というのも変ですが、特に食品などの場合色々な見方が出来るかと思います。日に日に価値が落ちている、と見ることもできますし、一度人の手に渡ってしまえば格段に価値が落ちるとも言えます。

この際の問題点としては、通関用インボイス価格までしか保証されないことです。通常、FedExなどは自動付帯で保険がかかっていますが、これは最大限で通関インボイス価格になります。万が一、商品が紛失・破損しても通関インボイス価格までですので本当に原価が高価なものを関税・消費税を避けるために10000円以下にしてしまうと運送会社からの保証はほぼありません。この点について通関用インボイスを用意する場合は輸出・輸入者双方で確認する必要があります。

よく使われる文面として「The goods are of no commercial value. This(Above) price is the custom clearance purpose only.」。「通関用に用いられる価格であり、商品に商品としての価値はありません」という意味です。

また、輸出者は販売金額をあくまでも「国内売り上げ」とし消費税を計算し納めることになるので、輸出にあたり「国内消費除外品」として税金の払い戻しはできません。


さて、これを今回のパトリック・ロジェ個人輸入に当てはめて説明すると;

・販売価格は税込み価格(フランス国内で購入する価格と同額)。

・送付先として日本(フランス国外)を指定しても免税にはならない。

・商品代金: €170(税金€17.95込み)+ 運送料(FedEx: €54.55)を支払い

・通関用インボイス金額は€10(全込み!)

・そのまま荷物受け取り(受け取り時に税金はかからない)

今回の購入金額は€170 ➡ 20400円程度。この金額で記載されていた場合、受け取り時に税金がかかります(2000‐2500円程度)。但し、フランスで支払い済みの消費税は払い戻される可能性はあります(€17.95 = 約2150円)。

ということで、今回の場合はどちらでも合計金額は大して変わらなかったということになります。税金がフランスに入るか日本に入るかの違いですが、日本に入るのは数百円。運送会社のハンドリング手数料が高いのよねー。

ベルナシオンの直販は税抜き価格の表示なので、15000円以上購入すると税金が徴収される可能性が高いです。1回の注文は10000円以下(送料は別途)に抑えるようにすべきです。

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